大学で司書の資格を取得したものの、別の仕事に就職したので、実際は資格を活かしたことが少ない人、多いのではないでしょうか。
また、図書館での経験がなく、学校司書になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。図書館経験があったとしても、学校と公共図書館とでは大きく異なります。経験則になりますが、初めて学校司書として勤める方に読んでいただけるとありがたいです。それでは参りましょう!
主な仕事・場所
主な仕事は、基本的に公共図書館と同じですが、大人数で行うことは少なく、シフトで組まれて動くことはありません。
学校司書は学校図書館での勤務で、例外を除き、1人で行うことが一般的です。大規模であれば、複数の司書や補助員が在籍している学校もあります。
学校司書は専任で1校につき1名、または複数校を掛け持ちすることがある仕事です。全国的に、学校司書の配置が進められている動きがあり、1校につき1名の配置が流れになりつつあります。(私は全国的に数少ないある中学校の学校司書で、図書室を2つ管理しており、実質複数校兼任状態です汗)
図書館司書の仕事とお給料については、以下の記事を参照してください。
勤務形態
令和2年度から、会計年度任用職員制度が導入され、勤務形態は、非常勤から常勤へシフトしているところが増えています。自治体によって異なりますが、だいたい4~8時間前後が一般的で、週2~5日と大きく異なります。校種や学校の需要によって、勤務開始時間も異なります。一例として、私が経験したそれぞれの校種を比較していきましょう。
小学校
児童が登校する前までには勤務先に出勤し、児童の登校を見守ったり、開館に向けて準備を行ったりします。勤務開始時間は8:15でした。
学校の規模や需要によって異なりますが、1時間目から6時間目まで毎時間各クラスが図書の時間が設定されているので、基本的に休める余裕がありません。
その代わり、児童が下校する時間より早く退勤することが出来るので、比較的に夕方以降は時間に余裕があります。ただし、書架整理や日常的な整備に時間がかかる場合は、早く帰ることが難しいです(私は退勤時間(15:15)から最大5時間残ったことがあります)
中学校
中学校は、小学校と比較すると需要が少ないですが、放課後の利用に需要があれば、勤務開始時間を遅くしているところがあります。今現在は9時に勤務しています。
図書の授業がないため、書架整理や図書館だよりの作成などの時間に余裕があります。たまにですが、学校図書館で授業を行う調べ学習や委員会活動など、需要があるので、初任の学校司書にはおすすめの校種です。
ただし、選書には、ものすごく知識が必要になり、その学校の生徒の実態や教職員にも選書するといったことを頭に入れて行う必要があります。特にライトノベルや青少年育成に係る条例等、不適切だと思われる資料は管理職から聞かれることがあります。選書に困った際は、抱え込まず、別の学校司書に相談したり、ブックフェアや図書納品業者の営業担当に相談したりするのも良いかと思います。
高等学校
高校は経験がありませんが、大きく分けて全日制と定時制があり、その学校によって学校司書の勤務が異なります。
1人配属の学校もあれば、複数の学校司書が在籍している学校もあります。
日勤または夜勤専任もあれば、シフトを組んで交代で日勤と夜勤を行うことがあります。高校で学校図書館を利用する機会は、どの校種と比較しても、圧倒的に少ないかと思います。
1日の流れ(出勤)
ここでは、出勤から退勤までの学校司書の1日を紹介します。ほとんどがこのパターンです。学校の規模や自治体等で異なりますが、参考程度でイメージしてみてください。
出勤
出勤時は、職員が出入りするところから出勤します。セキュリティカードや暗証番号の場合は解錠し、ない場合は、インターホンを鳴らして解錠してもらい入りましょう。
着替え(必要に応じて)
通勤時に着用している服装と校内で着用している服装が異なる場合は、更衣室で着替えます。学校によって異なりますが、出勤の処理を行ったうえで着替えるか、処理を行う前に着替えるか、勤務先の状況を確認しましょう。
私の場合は、式典(入学式や卒業式)以外、滅多に着替えることはありません。
出勤処理
出勤したら、出勤の処理を行います。カードリーダーまたは押印など様々ですが、勤務する自治体によって異なります。タイムカード方式の場合は、出勤の処理を忘れずに!
学校図書館(図書室)での準備
学校図書館に着いたら、施錠してある場合は解錠しましょう。児童生徒を迎え入れる準備として、貸出を行う機械の起動、新聞紙のつづり替え、書架整理、清掃等を行います。
出勤前に授業等で使用されている場合があるので、使うことを前提に前日までには片づけておくと良いでしょう。授業時間で2パターンがあるので、見ていきましょう。
児童生徒・利用者が来館する場合
授業で来館
小学校や中学校では、調べ学習で学校図書館を利用したり、読書用で貸出したりします。事前に相談があったり、前日や当日に教員から相談されたりすることがあります。
また、学校司書が依頼して授業を学校図書館で実施することもあります(近年はこの傾向を求められます)。
図書の時間で来館
小学校の時間割に入っていることが多く、低学年から高学年まで幅広いクラスが来館します。
基本的に貸出・返却処理を行うのと、低学年から中学年には、必要に応じて、読書やブックトークなどを行います。1時間(45分)まるまる行うところもあれば、授業の半分やテストの終わった際に利用するクラスも多々あります。
中休み(小学校)・昼休み
長い休み時間は、利用者が圧倒的に多い傾向です。特に悪天候時に校庭で遊ぶことが出来ない場合は、学校図書館になだれ込むことがしばしば…
基本的には、貸出・返却がメインになります。中学校では、生徒と関わる機会はこの時間か、たまにある授業でしか会うことはありません。
給食直後の昼休みは早めに準備しなければならないので、離席前や戻ってきた直後はチャイムが鳴る前までには準備しておきましょう。
児童生徒・利用者が来館しない場合
ごく稀に、児童生徒が来館しない時間帯があります。その時間では、以下のことを行います。特に小学校では貴重な時間です。だいたいこの時間が確保できないため、出勤時間の前や退勤時間を過ぎてしまうことがしばしば…
- 書架整理
- 図書館だよりの作成
- 選書リストの作成
- 清掃(コロナ渦では消毒作業も実施)
- 除籍処理
- 日報の作成
1日の流れ(勤務終了)
1日の勤務お疲れさまでした。だいたいの流れはこんな感じです。退勤は、出勤時の逆の手順で行います。出張や時間休のイレギュラーはありますが、たいていの流れはこのような形です。
最後に学校司書を目指している方へ
たいていのことは1人で行いますが、教員も協力して行うことがあります。1人の仕事は大変な分、やることも多いですが、自分に生かしたいことがあれば、発揮できる仕事だと思います。
最初は何をするべきか難しいところはあります。また、1人でやる仕事なので、いろいろと抱え込むこともあります。ストレスは抱え込まず、横の繋がり(他校の学校司書)ともかかわりを持ってみたり、同業他社(教育現場や図書館関係)から意見やアドバイスを聞いてみたり、相談に乗ってみたりしてください。
学校司書は、必要とされている仕事の一つです。ただ現状はそれに見合った賃金に至っていないのが現状です。実家暮らしや別の収入があったり、夫または妻に大きな収入があったりすれば、お小遣い稼ぎ程度でも良い程度ですが、学校司書だけでは食っていくのは難しいです。ステップとして考えるか、やりがいをもって働くか、目指す方にお任せします。ぜひ頑張ってください👌
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